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幻のちんすこう首里の本家新垣菓子店のちんすこうが美味すぎて二か月待っても食べる価値あり!


本日は首里にある本家新垣菓子店のちんすこうを紹介したい。

 

「今更ちんすこう?」と思われるかもしれない。

 

ちんすこうと言えば沖縄土産の定番。買った方も貰った方も多いだろう。

 

最近では種類も色々あり各メーカーが趣向を凝らしている。

 

私はこのブログで沖縄土産、ソバやらお菓子を紹介してきたがちんすこうを紹介したことは無い。何故か。それはたいして美味くないと思っていたからである。

 

最近は紅芋タルトなどという定番沖縄土産が出てきたがそれ以前のお菓子の沖縄土産と言えばちんすこうであった。私も以前、沖縄に行った友人知人から「ちんすこう」をもらっていた。

 

私の「ちんすこう」の感想は脂っぽくってパサパサで粉っぽく口の中の水分を一気に持っていかれる、悪魔の食べ物だと思っていた。

 

正直言ってもらってうれしくない沖縄土産はシーサーの置物とちんすこうがツートップであった。

 

そんな思いがあったのでここ数年はちんすこうを食べることも無かった。

 


そんな私が首里の街をプラプラ散歩していた時に見つけたのがこちらのお店であった。

古くからやっているお店のようだ。

 

本家新垣菓子店さん。

 

折角来たのだから何か買って帰るかとお店に入ってみた。

 

午後の4時過ぎだったこともあってお菓子はほとんど売り切れ、わずかに残っていたチンルイコウと花ボールを買って帰ることにした。

 

その時ご主人が型が崩れていたり色味が悪かったりで売り物にならない「ちんすこう」をお試しにと幾つかくれたのである。

 

 

その時に買ったチンルイコウとちんすこう。

 

チンルイコウは鶏卵糕という字を当てる。蒸しカステラで落花生や桔餅を入れた祝祭用のお菓子だそうだ。素朴な味の蒸しパンと言った風情である。

 

そしてその時に食べたのがお試しで貰ったちんすこうであった。

 

驚いたのである。そのおいしさに。これまで食べたちんすこうとは別物であった。

 

粉っぽくもなく、パサパサでもなく、口に入れた瞬間ふわっと甘さが広がり、サクッとカリッの中間位で口の中でほろっとほどける食感は今まで食べたちんすこうとは別物であった。

 

あまりに美味かったので次の日午前中にお店に行ってみると、何とちんすこうは予約制で2週間後でなければ手に入らないという事であった。来週には沖縄を後にしなければならない為、その時は泣く泣く諦めたのである。

 

そして今回満を持して再び新垣菓子店さんにやって来たのであるが、なんとなんと現在は2ケ月待ちなんてことになっていた。

 

2ヶ月待ち!

 

仕方がないので取り敢えず予約をして帰ったのである。

 


ちんすこうについて改めて勉強しよう。

 

由来は諸説あるが中国の焼き菓子「桃酥」が沖縄の気候風土に合わせた原料で作られたという説やポルトガルの焼き菓子ポーロがシルクロードを伝わってという説もある。

 

琉球王朝の王族や貴族のみが祝い事の席で食べることのできたお菓子として珍重された。

 

琉球王家最後の包丁人、一世新垣淑規、二世新垣淑から廃藩置県後、琉球菓子の作り方を伝授された三世新垣淑康が1908年に新垣菓子店を興し、レンガ窯で焼いたちんすこうを販売した。

その後分家独立し久米で店舗を構えた六男新垣淑扶が米軍が使用していたクッキーの片抜きを再利用し一口サイズの細長い形に改良、大量生産の手法を確立させた。

 

現在、新垣の名を継いでいるちんすこうは三家ある。

 


新垣淑扶の「有限会社新垣菓子店(新垣ちんすこう本舗)」

那覇空港や国際通りの土産物屋など何処にでもある黄色い包装でお馴染み。


七男新垣淑正の妻カミが戦後に開業した「新垣カミ菓子店」

首里赤平町にある店舗。職人さんが作業をしている様子を見ることが出来る。

こちらは本店の他、首里城の売店でも購入可。

 


そして今回私がおすすめするのが新垣淑康の三男筋にあたる「琉球菓子元祖本家新垣菓子店」のちんすこうである。

あれから2か月。

ついに待ちに待った本家新垣菓子店謹製「金楚餻(ちんすこう)」を食べることが出来る。

 

立派な化粧箱入り。高級感漂う。

 

金楚餻とは「黄金に輝き(金)、ほどけるような口当たり(楚)の焼き菓子)餻」という意味である。

 

どうだ恐れ入ったか!

 

早速いただこう。

 

カリッとサクッとそしてほろっと口中でほどけていく。粉っぽさもパサパサ感もない。

しっとりと優しい甘さが口中に広がる。

 

これだこれだ。この味だ。

 

古琉球王家御用達だと思って食べれば有難さも倍。


琉球王家御用菓子

本品は古琉球王家並びに戦前各宮様沖縄御立寄りの時、弊店が献上品として謹製された御菓子にして滋養豊富、風味佳良な独特の製品なり。

 


なんでこんなに入手困難になってしまったかというと、そもそもこのお店は御店主とお母さんの二人で営んでおられる。

 

しかも最近ご主人がヘルニアでしかも右手が腱鞘炎だそうで「しんどいワァ~」とおっしゃっておられた。

 

ちんすこうだけでなく花ボールやクンペン、チンルイコウも作っておられるので一日に作れる数は決まっているのだ。

 

そんなこんなで今や二か月待ちの幻のちんすこうになってしまったのである。

 

2ヶ月待って食べるせいか余計に美味い。お茶によし珈琲によし牛乳と一緒に食べても美味い。何をどう食べても美味い。

 

 

もしあなたが2ケ月待てるなら、是非食べてみて。それだけの価値はありますよ。