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桜坂劇場だより。日活ロマンポルノの傑作「四畳半襖の裏張り」


渋い作品のチョイスでお馴染み、桜坂劇場で日活ロマンポルノ初期を代表する傑作と言われる「四畳半襖の裏張り」(1973年)を観てきた。

 

お客さんは私とほぼ同年代と思われる4人だけ。


 

解説(公開当時のプレス資料より)

永井荷風の原作と言われる「四畳半襖の下張り」をヒントに神代辰巳(くましろたつみ)がシナリオ化した問題作。

遊びの限りをつくした中年男と初見の芸者・袖子との床のシーンが映像化され、エロティシズムの原点に帰った本格的ポルノ映画作りに神代辰巳の演出も冴えわたる。

 

人妻役にかけてはNO1の宮下順子が、今までの集大成にと、袖子役に体当たり演技を披露し、中年男にベテランの江角英明が汗みどろの共演をするほか、丘奈保美、絵沢萌子、芹明香らの芸者衆が大正時代の雰囲気を盛り上げている。


 

 日活ロマンポルノは1971年(昭和46年)から1988年(昭和63年)にかけて日活で制作・配給されたものである。

 

この作品が作られたのは1973年。その当時は私はまだ小学生ですからもちろんリアルタイムで見たことはない。

 

主演は宮下順子さん。言うまでもなく往年の日活ロマンポルノを支えた大女優。

 

現在は一般の映画やドラマなどにも多数出演。第21回(1978年度)ブルーリボン賞助演女優賞を受賞。演技力も認められている。

 

代表作は日活ロマンポルノを代表する傑作のひとつ「赫い髪の女」

 

宮下さんロマンポルノで活躍されていたのは1970年代までで80年以降は一般の映画、ドラマに活躍の舞台を移していた。

 

私のイメージする宮下さんはちょっと影のある色っぽいおばさんという感じだろうか。

 

私にとって日活ロマンポルノといえば美保純さんですので、宮下順子さんは一世代前の女優さんなのである。


2021年に日活ロマンポルノは50周年を迎えたんですと。

 

ロマンポルノと言われる前はピンク映画と呼ばれていた。

 

ロマンポルノという言葉は東映ポルノ映画「温泉みみず芸者」で初めて使われた。この映画のヒットで日活もポルノという言葉を拝借したらしい。

 

ちなみにこの「温泉みみず芸者」(監督鈴木則文)出演陣を見てみると小池朝雄、芦谷雁之助、川谷拓三、山城新伍、由利徹、大泉晃、殿山泰司。

 

文学界からはSMの巨匠団鬼六先生、直木賞作家田中小実昌等そうそうたる顔ぶれ、ただのポルノ映画ではなかった。現在では実現不可能であろう。

 

高度成長期の昭和という時代を反映した、その時代でしか撮れなかった映画。

時代の匂いを感じる。こういった作家性の高い映画はもう作られないだろうな。

 

しかしながら80年代に入ると日活ロマンポルノは粗製乱造のただの下品なポルノ映画に成り下がってしまった。

 AVに取って代わられたのは致し方ない。

 


本作品は大正から昭和にかけての三つの話が同時並行的に語られている。芸者を揚げて遊ぶ金持ちの旦那衆から明日は出征するという下級軍人、そして苦界に生きる色街の女たちの生態が生々しく描かれている。

 

やはり白眉は主演の宮下順子さん。色気ダダ洩れ。床のシーンでは今どきのアイドル上がりの女優には真似できない凄みを感じる。

 

始めて観たけどファンになりました。

 

次はぜひ宮下さんの代表作「赫い髪の女」をお願いしたい。 あと、団地妻シリーズも。

 

 


やはり映画は映画館で観るもんだなと思いながら出てくると、入り口に貼られた巨大なラブライブのポスターが目に入った。脳みそ混線する。

 

日活ロマンポルノとラブライブが共存する場所、桜坂劇場。

 

振り幅デカ過ぎ。

 

 



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